〝学びの旬″は子どもが興味・関心を示したとき【子育て110番】

あぁ、それを言ったらおしまいよ

ある日曜日の出来事です。
息を切らせたお母さんと小学1年生くらいの男の子が、電車に乗ってきました。お母さんは時間が気になるのか、しきりに腕時計を見ています。

(待ち合わせの時間にでも遅れそうなのかな?)と思って見ていると、男の子が目をキラリと輝かせて、お母さんを見上げて言いました。

「ママ、1分ってどのくらい?」

(あ、いい質問だ)と思った私は、頭の中でいろいろと答えを考えました。しかし、当事者のお母さんはまったく答えようとしません。

男の子はもう一度お母さんに同じことを聞きました。すると、お母さんはさもうるさそうに顔をしかめて、

「1分は1分よ!」

と言い放ちました。

(あああぁぁ……)私は、思わず心の中で悲鳴のような声をあげてしまいましたが、男の子は、それっきり黙ってうつむいてしまいました。

お母さんの心の中の状況もお察しします。きっと焦りやイライラでいっぱいで、子どもの質問に答える余裕などなかったのでしょう。また、とっさにどう答えてよいのか、思い浮かばなかったのかもしれません。それでも、あの答えはあんまりだなあ、と思わずにはいられませんでした。

学ぶタイミングは?「今でしょ!」

あの男の子は、1分の長さを再度誰かに質問したでしょうか? あるいは自力で調べてみたでしょうか? そうだといいなあと思います。私は、下車する男の子を見送りながら、(どうか、大人から学ぼうとする意欲だけは失くさないでね)と心の中で祈りました。

子どもが自分から「知りたい!」と思ったときこそが、“学びの旬”です。大人であっても子どもであっても、他の人から命じられるよりも、自分で興味関心をもって取り組むときのほうが、心の窓、学びの窓が大きく開いていて、たくさん吸収できるものです。

たとえ大人に知らん顔をされたって、なにくそっ、と発奮して頑張れる子は強い子ですね。でも、「ママには何を聞いてもムダだ……」と、悲しい気持ちで次第にあきらめを覚える子だっています。本当に残念なことです。心に余裕のある大人になって、わが子にも誠実に対応したいものです。

1分はどれくらい?

さて、みなさんなら子どもに1分の長さをどのように教えてあげますか?

「1、2、3、4……、このくらいのスピードで60まで数えたら1分」と言って、一緒に数えてもいいですね。

「目を閉じて。ママが『はい』と言うまでが1分よ」
と、1分の意外な長さを感覚で味わわせてあげる方法もあります。

秒針のある時計が近くにあれば、秒針が12のところからひと回りする間、親子でじっと眺めてみるのもいいですね。音を出してもかまわない場所なら、携帯のアラーム機能を使ってみるのもおもしろそうです。

ママが子どもの“学びの旬”につきあって、一緒にワクワクしながら学びの意欲を伸ばしてあげることができたら、子育ての時間は、もっと豊かで幸福なものとなるに違いありません。

Illustration by Mika Kameo

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奥田敬子 Keiko Okuda

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。